PURELOVE
ようやく3年2組の教室に着き、一安心したのもつかの間。


教室には思った以上に観客が来ていた。


「あ~見れないかもね…」


「だねぇ~」


彩花も残念そう。


すると、クラスTシャツを着た女の子が近寄ってきて、


「すみません…立ったままでなら、見ることができるんですが…どうされますか?」


申し訳なさそうにあたし達に言った。


「どうする?」


彩花に聞かれたあたしは、即座に答えた。


「せっかく来たんだから見ようよ!」


「まぁ、多少の不便は仕方ないわよね!」


話がついた所で、待っていてくれた女の子の方を向いた。


「見ます♪」


「ありがとうございます!あ、教室内暑くなっているので、これ使って下さい」


そう言って渡されたのは、段ボールで作ったたうちわ。


気がきくじゃん♪


「ありがとう!」


そう言って2人分受け取る。


「あ、いえ!じゃあ、ごゆっくり見ていって下さい!」


何故か顔を赤くしたその子は早口で言うと、暗幕の中に消えていった。
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