Crazy Love
俺が床に転がっていたおもちゃを拾い上げて眺めていると、彼女はこたつの上にコーヒーを「どうぞ」と置きながら

「狭いところでビックリしたでしょ。今、主人単身赴任で。いない間、家賃もったいないから、狭いところでいいかなって。あ、落ちてた? ごめんね」

芹は、おもちゃを受け取り、おもちゃ箱に仕舞いながら、わざとらしいぐらいに明るく振る舞ってそう言った。

彼女はいつだって、こうやって俺の前で強がって嘘をつく。全てを知っている俺にとって、そんな芹の姿は、とても痛々しくて切なさが増した。

「嘘つくなよ」

俺からの思いがけない言葉に、芹は小さく「え!?」と、言葉を漏らす。
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