Crazy Love
「俺、カズくんから話を聞いたとき、自分が全く信頼されていなかったことが、なによりショックだったよ。確かに頼りなかったかもしれないけど、ちゃんと話して欲しかった」
「……違う」
「え?」
ポツリと漏らしてしまった言葉に、自分でも驚いたのか彼女は咄嗟に口元を押さえる。
「どういうこと?」
「信じていなかった訳じゃない……信じていたから言えなかった。正直に話したら、和也くんはきっとお腹の子供と私を支えたいって、今みたいに言ってくれると思った。だから……まだ22歳の和也くんに、そんな重荷を背負わせたくなかったの」
彼女のつけた仮面が少しずつ剥がれ落ち、本心が顔を覗かせはじめる。
戸惑いながらも、素直な気持ちを口にした芹の声は少し震えていた。