Crazy Love
理央は、自分がどんな人間か俺に知ってもらおうとしてなのか、色々な話をしてきた。
幼い頃どんな子供だったのか。
小学生低学年の時から高校のはじめまで、父親の仕事の都合でアメリカで過ごしてきたこと。
日本に戻ってきてから、帰国子女だという事で少し友達関係で苦労したこと。
大学を3月で卒業し、4月から銀座の『松越』デパートに就職が決まっていること 等々──。
理央は自分の意見や気持ちをストレートに口にする。
それが、子供時代から数年アメリカで過ごした事によるものなのか、元来の性格なのかはわからないが、俺の周りにはあまりいなかったタイプの子だった。
俺は理央のペースに引きずられるように会う回数を重ね、いつの間にかほんの少しずつではあるが、理央に安らぎを感じられるようになっていった。