Crazy Love
一瞬心臓が大きく高鳴り、俺は慌てて後ろを振り返り声のした方を見上げる。

「あ!」

立っていたのは、芹だった。思いがけない形で彼女に会ってしまい、俺は思わず驚きの声を上げた。

「こ、こんにちは」

彼女も、驚いた顔をしている。

お互いに、予期せぬ事態に次の言葉を失っていると、

「ママ、あった!」

と、男の子が彼女に雑誌を手渡し、芹の足にくっついた。

「こ、子供いたんだ……」

俺は思わず、聞いてしまった。

8月に会ったときには、そんな話にならなかったし、見た目も全然変わっていなかったから、子供がいるとは思ってもみなかったのだ。
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