さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
ソリャンはレイラをくまなく観察し、納得したように、そうだったのかと呟いた。
「どうか私を罰してください。でも、家族の命だけは!」
レイラは床にしゃがみこむと、はいつくばるようにして頭を下げる。
どうにかしてソリャンにわかってもらわなければ、
進むのは、奈落への坂道だ。
ソリャンはしばらく沈黙を守ってから、
床に膝をつき、レイラと同じ高さに目線を合わせた。
「つらかったね」
言葉と同時にレイラの背中に回されたソリャンの手が、じんわりと暖かい。
我慢しきれず、レイラはわっと泣き出した。
「ご、ごめんなさい」
ずっと言いたかった言葉を、何度も繰り返す。
ソリャンは、ふんわりとレイラを腕の中に包み込むと、
「もう心配要らないよ」
一番欲しい言葉をあっさりと与えてくれた。