さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「もう泣かないで、レイラ。君の家族は、必ず私が助けるから」
続く言葉に、わずかな不安がはしる。
「で、でも」
「私に任せて。ジマールの屋敷をとりおさえよう」
力強い言葉。
こんなにもいい人を騙していたのだと改めて湧き上がる罪悪感と、
許されたことへの高揚感が入り混じって、涙がとまらない。
「あ、りがとうございます」
搾り出した声は鼻声だったが、なんとかお礼を述べることはできた。
ソリャンは綺麗な笑みを浮かべると、
「ところで、レイラ。
君の家族は、どういう人なんだい?」
助けるには知っておかないとね、といたって簡単に尋ねた。