さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

「え、なんで」


真摯なまなざしは、到底冗談とは思えない。


「なんでもだ。

リア国では、ここ何年か王に逆らう者を影でほおむっているという噂がある」


レイラの両肩に手を添えると、サジは囁く。

小さいが、鋭い声。


だが、レイラには彼の忠告の意味が理解できない。


それは、まるでソリャンを非難しているように聞こえて。


「そんなのただの噂でしょう?

ソリャン様から聞いたわ。

レイラ姫が行方不明になって以来、王様が人間不信になったって」


庇おうという意思が働く。

両者の間に誤解があるなら、解いたほうがいいに決まっている。


だが。


「そうかもしれない。しかし、危険な目に合ってからじゃ遅い。

君の家族も、ひょっとしたら今頃」


「え?」


< 135 / 366 >

この作品をシェア

pagetop