さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

なるほど、とサジが呟く。

自分に怒りが向けられるかもしれないと覚悟していたが、

サジは声を荒げることはしない。


どうやら眉間に皺が寄った原因は、

何か考え事をしているせいらしい。


ひょっとしたら自分たちの逃げ方を考えているのかも、

そう思ったので、助言のつもりで口にした。


「多分私の家族を助け出してから、

サジさんたちを捕まえるつもりじゃないかしら。

だから、今の間に逃げれば大丈夫だと思うんだけど」


しかし、サジは驚くような事を言い始めた。


「レイラ。いいか、よく聞くんだ。

お前の身に関わる大事なことだ」


サジはレイラの前に跪くような格好になり、

真剣な瞳で訴える。


「この城の中では、誰にも心を許すな」



< 134 / 366 >

この作品をシェア

pagetop