さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
なるほど、とサジが呟く。
自分に怒りが向けられるかもしれないと覚悟していたが、
サジは声を荒げることはしない。
どうやら眉間に皺が寄った原因は、
何か考え事をしているせいらしい。
ひょっとしたら自分たちの逃げ方を考えているのかも、
そう思ったので、助言のつもりで口にした。
「多分私の家族を助け出してから、
サジさんたちを捕まえるつもりじゃないかしら。
だから、今の間に逃げれば大丈夫だと思うんだけど」
しかし、サジは驚くような事を言い始めた。
「レイラ。いいか、よく聞くんだ。
お前の身に関わる大事なことだ」
サジはレイラの前に跪くような格好になり、
真剣な瞳で訴える。
「この城の中では、誰にも心を許すな」