さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
もうはるか昔の記憶のように思える。
ジマールにとらわれてからの事が一気によみがえり、レイラは眉をひそめた。
・・皆を助けるためにお姫様のふりをして城にあがることになるなんて、
一年前の私に伝えても、信じないでしょうね。
涙を見せたくなくて俯くと、髪飾りがしゃらんと音を奏でる。
その瞬間、レイラの目がはっとしたように光を放った。
「あのサジ。色々助けてくれてありがとう。でも、私のことはもういいから」
「なぜだ?」
サジは腕組みをして、顔を傾けた。
レイラは俯いて膝に置いた両手をぎゅっと握り締める。
「サジは・・・好きな人がいるでしょう?」
「好きな人?」
一体何の話だ。
それた話の内容についていけず、今度はサジがおうむ返しをする番になった。