さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

それを開いて一読すると、サジは


「くそっ!!」


と声を荒げた。

手の中で、くしゃっ、と紙の丸まる音がする。


「おい!静かにしろよ」


ユーリは入り口を振り返った。

外には漏れなかったようで、兵士に動きはない。


「なんだか、珍しくいらいらしてるな」


冷静沈着でどんな誘惑にも心を揺さぶられないというのが、

サジのレガ国における評判で、

それは確かに当たっているとユーリは思っていた。今の今までは。


「悪い。こんなことを考えてるなんて、まるで思ってなかった。

くそっ、あのばか!」


サジの呟きを拾って、ユーリは嬉しそうに破顔した。


「なんだ」


こんな状況でにやつくやつがあるか、という意味を込めたつもりだったが、


「お前、初めてだろう。女に振り回されるの」


ユーリは真実嬉しそうに目じりを下げた。



< 245 / 366 >

この作品をシェア

pagetop