さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
それを開いて一読すると、サジは
「くそっ!!」
と声を荒げた。
手の中で、くしゃっ、と紙の丸まる音がする。
「おい!静かにしろよ」
ユーリは入り口を振り返った。
外には漏れなかったようで、兵士に動きはない。
「なんだか、珍しくいらいらしてるな」
冷静沈着でどんな誘惑にも心を揺さぶられないというのが、
サジのレガ国における評判で、
それは確かに当たっているとユーリは思っていた。今の今までは。
「悪い。こんなことを考えてるなんて、まるで思ってなかった。
くそっ、あのばか!」
サジの呟きを拾って、ユーリは嬉しそうに破顔した。
「なんだ」
こんな状況でにやつくやつがあるか、という意味を込めたつもりだったが、
「お前、初めてだろう。女に振り回されるの」
ユーリは真実嬉しそうに目じりを下げた。