さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
きゃっ、とあがった悲鳴に、ソリャンは口角を上げる。
「話を聞こう。僕の部屋へおいで」
抱えられ連れて行かれたのは、殺風景な場所だった。
ジウチの部屋が、金に埋もれた宝物殿だとしたら、
ソリャンの部屋は、しじまに埋もれた夜のようだ。
必要最低限の、しかも、どれも質素なものが申し訳程度に置かれている。
窓の少ない部屋は、昼間でも暗いのではないかと思えた。
ソリャンはレイラを長いすに座らせると、侍女に一言二言命じ、人払いをした。
「それで、何があったの?ハスナというのは、君につけた侍女のことだね?
どうして、彼女が君を殺そうとしたとわかったの?」
「ハスナの腕に、私がつけた引っ掻き傷があるんです。確かめてもらえばわかります。
それに、さっきも剣を向けられて・・・」
王の部屋で、と続けようとして、口を閉じた。
殺そうとしたのは確かにハスナだろう。
だが、それを命令した人物は。