さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「王だったんだわ」
自分に確認するように、ぽつりと呟く。
だから、ハスナは王の部屋にいたのだ。
サジが探しても見つからないように、隠れていたに違いない。
「王が、君を殺そうとしたっていうこと?」
レイラはかいつまんで殺されかけた経緯を話した。
抜け道は、落としたものを拾おうとして寝台の下にもぐり偶然見つけたと説明した。
苦しい言い訳だと思ったが、ソリャンは何もいわなかった。
「なるほど」
ソリャンはそういったきり、顔を背けた。
掌で顔を覆い、はぁ、とため息をつくと、レイラから距離をとる。
命のかかっていることだからと、夢中で訴えたが、
ソリャンにとっては父親の悪口を言われたようなものだろう。
レイラは居心地が悪くなり、腰を浮かせた。
サジに知らせに行くことを口実にこの場から去ろう、そう思ったとき、
ソリャンの凛とした声が、沈黙を打ち破った。
「と、いうことだそうだよ。
しくじったね、ハスナ」