さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

「不安か?」


自分を見つめるレイラの視線に気づき、サジが振り返った。

不安の指すところが、後見人に会うことを意味しているのだろうと思ったレイラは、

ゆっくり首を横に振る。


「ううん。ただ、お姉ちゃんに何も言ってこなかったから。

お父さんも私がいなくなったことを知ったら、心配するだろうし」


やっと会えたのにまたいなくなるなんて、なんて親不幸なのだろう。


そんなレイラの気持ちを汲んだのかどうか、サジはさらりと答えた。


「カマラには文を出しておいたから大丈夫だ。

お前の父には私から直接事情を説明する」


「え?文を?なんて書いたの?

直接ってどういう意味?

お父さんの居場所を知ってるの?」


ミゲルは、いったんはリア国の城に戻りレイラが本物の王女であることを証明したものの、

世話になったお礼を言うためにと、レガ国を訪れているはずだった。




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