さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
ミゲルがリア城へ到着した日、父は力いっぱいレイラを抱きしめた後、
彼女の前にひざまずき頭を垂れた。
『どうぞ、お許しください。
レイラ様を殺せというのが、ソリャン様の命令であることはわかっていました。
しかし、6歳の王子がそんなことをしたと訴えても、
私の身が危うくなるだけでした。
私が死んでも、他の誰かがあなたを殺しにくるでしょう。
どちらにしても殺されるなら、
せめて私の力の限りお守りしようと、あなたを連れて逃げたのです』
本当は、ソリャンの首を落とすことも覚悟した。
しかし、自分の前に立ちはだかったのは、妹のようにかわいがっていたハスナだった。
あの時、非情になりきれなかったことを、
ミゲルはずっと悔いてきた。
自分が手を汚しさえすれば、レイラがただの平民の娘として苦労することもなかったのだ。