さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~



・・だめだこいつ。自分の気持ちに気付いてない。



どう説明すればいいのか、心の中で嘆息する。

自分のことを例にあげてみればどうだろう。


ユーリは先に自分の気持ちを打ち明けてみることにした。


『俺さ、明日求婚しようと思ってるんだ』


『お前の理想は、はにかんで微笑むようなおしとやかで可憐な女じゃなかったのか?

カマラはずいぶんと遠い位置にいるようだが』


『いいんだよ!理想と現実は違うんだよ!』


誰に求婚するかも言っていないうちから言いあてられて、

ユーリはぷっと頬を膨らませた。

自分の気持ちには自覚がないくせに、なんだって人のことはよくわかってるんだ。


< 338 / 366 >

この作品をシェア

pagetop