さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
二人の男は、前後に並んで無言のまま歩きだした。
前面に広がる暗闇は、この幼い娘たちがたどる、
果てしなく長く、遠い道のりのような気がして、
男は顔をゆがめた。
布からはみ出した赤い髪を、寒くないようにとくるみなおす。
産まれた時からふさふさと生えそろっていたその髪は、
産後の肥立ちが悪く、息を引き取った彼女の母にそっくりだった。
『どうぞ、この子をお守りください』
それは、赤子の母親である美しい女の言葉。
女は、産まれたばかりの赤子の行く末だけを心配し、
夫である王に懇願しながら息を引き取った。
男は王の傍らにひざまずいてその言葉を聞きながら、
俯いたまま、唇をかみしめた。