さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
いずれ成長したら、この赤子は母のように美しい娘に育つのだろうか。
「ミゲル隊長。これからどうするつもりです?」
前を歩くリュートは、ずり落ちそうなカマラの体に弾みをつけて器用に背中の上に持ち上げながら、振り返った。
「そうだな。田舎で、畑を耕しながら大工でもして暮らすか」
「それもいいかもしれませんね」
まじめなリュートは、自らの待遇が極端に悪くなることに愚痴もこぼさず、首肯した。
そして付け足しのように小さくつぶやいた。
「ハスナは・・・。大丈夫でしょうか」
「わからん。目を覚ましてくれるといいがな」
自分の今後ではなく、本当は、ハスナのことを聞きたかったのだろう、
とミゲルは思った。
自分がハスナを妹のように可愛がっているように、
リュートはハスナを姉のように慕っていた。
「きっと、目を覚ましますよ・・・」
自分に言い聞かせるように、リュートはぐいと顎を上げてつぶやいた。