さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
リュートの願いもむなしく、のちにソリャンは次々に王族を殺め、
政治的理由から多くの人間を処刑することになる。
自分たちが、政治犯を助けるために、牢を破ったり、処刑場をあらしながら、
そうと悟られないよう、貴族たちから金品を奪う盗賊行為を行うようになるなどとは、
このときのミゲルたちには想像もできなかった。
「ふぇっ!」
ふいに、男の腕の中の小さな存在が、自己を主張した。
男は腕を揺らしながら、そっと赤子をあやす。
自分をじっと見つめるその瞳に、不安げな男の顔が写りこんでいる。
王の瞳も、自分の瞳も、似たような色をしている。
だから、この子の父親が“誰であるか”は、神にしか分からないことだ。
・・やはり、王はすべてを知っていたのかもしれない。
知っていたからこそ、王女を跡継ぎに据え、
“自分の娘”であることを主張したかったのかもしれない。
それが、主を裏切った自分への復讐。