【短】偽りのチョコ

なんか…本当にむかつく！

「ふぅん。なら、ここで俺に何をされても文句はない…よな？」

ニヤッと笑った勇汰が、あたしの覆いかぶさってきた

あたしは慌てて、口元を覆うと顔をそむけた

その姿を見た勇汰がクスクスと肩を揺らして笑い出した

「変なヤツ」

勇汰が学生鞄の中から、長財布を出すと、万札を抓んであたしの膝に投げた

ぱっと見で、１０万以上はある

なんでそんな大金をあたしに投げてくるのだろうか

あたしは、勇汰の顔を見た

「金…欲しいんだろ？」

「まあ、そうだけど」

「なら、ありがたく受け取っておけ」

「どうして？」

「あんた、面白いから。名前は？」

「イチゴ」

「金が欲しいなら、俺の言うことを聞けよ…イチゴ」

勇汰が、楽しそうに笑うと、財布を鞄の中にしまっていた