キミに極上の恋物語を
立ち上がって近づこうとした足を、私はそのまま後ろへと戻す。
たぶん、この子だけじゃないんだろう。
人気者の斗真くんの周りには、いつだって女の子が溢れてるんだもん。
私だけが、ずっと見つめてきたわけじゃない。
「あ、華。待てって」
振り返ってしまえば、もう目の前には白い校舎しか見えなかった。
蒼い芝生に背を向けて、私は何も考えないようにしながらグラウンドから離れる。
変な期待は、もうやめよう。
私が描いてきたことは、結局小説の中だけの妄想にすぎないんだから。
「華ーっ」
少しうつむいたまま歩き出した足は、どんどんスピードを増して。
「おいっ」
聞こえない、聞こえない
この声だって、きっと私が勝手に作り出した…
「華、あぶねーっ…」
知らないも、ん……ん?
ゴン!!