キミに極上の恋物語を


立ち上がって近づこうとした足を、私はそのまま後ろへと戻す。

たぶん、この子だけじゃないんだろう。

人気者の斗真くんの周りには、いつだって女の子が溢れてるんだもん。

私だけが、ずっと見つめてきたわけじゃない。



「あ、華。待てって」



振り返ってしまえば、もう目の前には白い校舎しか見えなかった。

蒼い芝生に背を向けて、私は何も考えないようにしながらグラウンドから離れる。



変な期待は、もうやめよう。

私が描いてきたことは、結局小説の中だけの妄想にすぎないんだから。



「華ーっ」



少しうつむいたまま歩き出した足は、どんどんスピードを増して。



「おいっ」



聞こえない、聞こえない

この声だって、きっと私が勝手に作り出した…



「華、あぶねーっ…」



知らないも、ん……ん?






ゴン!!








< 20 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop