ハニードハニー
 腰まで伸びた長い髪が綺麗に巻かれていて、真っ赤なドレスに黒いストールを羽織っている。

 いつもよりボリュームが増しているけど、間違いなく社長だ。


「宮下うるせぇ!」

「いや、先生だって、社長が……」


 周りのクラスメート達も社長の存在に気付いたらしく、ざわめき始めた。

 グラウンドにいた生徒達も体育をやめて校門に注目している。


「誰だあの年増女」

「ちょっとやめて下さい先生! 社長に聞こえたら怒られますっ」

「聞こえる訳ねぇだろ。ここから校門までどんくらい距離あると思ってんだ」


 確かにそうだけど……。
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