ハニードハニー
 仕事の場で学校の友達会うのってなんか新鮮。

 少し緊張がほぐれた気がした。


「さすがは俺の妹だな。お兄ちゃんステージできらきら輝く妹に涙が止まらないよ……」

「蓮兄そういうのは恥ずかしいから心の中に閉まっておいてちょうだい」


 あいかわらず恥ずかしい兄である。


「ほら涼介もなんか言いなさいよ!」

「え、俺?」


 楽屋に来てから一言も話していなかった涼介くんに、美咲が肘でつつくようにして話を振った。

 なんでかは分からないけれど、なぜか涼介くんは緊張したような顔をしていて、私と目を合わせてくれなかった。


「涼介くんも来てくれてありがとう。おかげで緊張が和らいだみたい」

「そうか、ならいいんだ。ステージの宮下はなんて言うか……いつもと違う宮下で違う世界に住んでるみたいに感じた」

「なにそれ大袈裟だよ、私は私だよ」


 そうだな、と言ってやっと目を合わせてくれた涼介くんが笑ったので、私もつられて笑った。
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