ハニードハニー
『答えならもう出てるじゃないか』

「どういうことですか?」

『雛ちゃんが歌いたいなら歌えばいいんだよ』

「……。分かりました、ありがとうございます」


 そう伝えて電話を切る。

 彼の言葉を聞いただけで決心できる私ってどうなんだろう。

 もう一度手にある携帯を握りしめてさっきとは違う番号にかける。


 人前で歌うことは恥ずかしいしそんな度胸を私は持っていない。

 だけど彼に喜んでもらえるなら、彼が私の歌を聞いてくれるならなんでもできそうな気持ちになれる。


 それは彼が私の歌を初めて褒めてくれた大切な人だから。
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