花は踊る 影は笑う~加賀見少年の非凡なる日常~

 そこまで深く考え込むようなことではないかもしれないし、無器用だなと時おり自分でも思う。でも、それが千歳という人間なのだから仕方ない。
『千早は……どうなんだろう?』
 千早は何を思って、自立出来るようになりたいと思うのだろうか。何か目指すところがあるのか……守りたいものでもあるのか……そこまでは千歳にはわからない。けれど、それがわからないのも当然だ。千歳は千歳で、千早は千早なのだから――
「お疲れさ~ん」
 千早が手伝うようになって仕事が終わるのも早くなった。ゴミ袋を手に、ゴミ置き場に向かうと、タオルを首にかけた綾人と、私服に着替えた小梅が待ち構えている。最近ではすっかり馴染みになった光景。近頃はいつもここで合流して、皆で千歳のプレハブに寄って談笑したり、ゲームをやったりしてから帰るようになった。
 娯楽といえるものが皆無に等しかった千歳の部屋は、今、綾人が持ち込んだボードゲームやトランプ、漫画類が徐々に増えて、少しだけ雑然としていたりする。
 最初は散らかるのに眉をひそめたりもしていたが、それにももう慣れたし、小梅や千歳も楽しそうに遊んでいるから気にならなくなった。

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