特別保健委員会
1:黒板消しの難
その時、
私こと、曽我美月は窮地にいた。

校舎裏、なんて青春物語のヒロインがイジメられるためにあるような場所で、
何故か上級生の昔でいうスケバン並に恐持ての先輩に囲まれて正座をさせられていた。

端から見たら、明らかにイジメのワンシーン。
残念ながら私は可愛いヒロインなんて柄じゃないけど。


「何、ぼーっとしてんの?あんた、自分の立場わかってんでしょうね。」


アホなことを考えていたら、先輩の一人に肩を小突かれた。
ここでよろめいて倒れたりしたら、か弱いヒロインを演じられそうだけど。

残念ながら校舎の冷たさを背中に感じている状態だし、正座からよろめいたりしたら、悲劇ではなく喜劇だ。


そもそも何故こんな状態になったかと言えば、話は長くなる。
若干簡潔にまとめてみれば、

窓の外ではたいていた黒板消しが私の手から飛び出して、窓の下で(愛の告白をしていたらしい)先輩に直撃したらしい。


突然粉だらけになった先輩はといえば、粉だらけにした後輩(つまり私)が謝罪に駆け付けている間に、周りの人に笑われるは、愛の告白は粉砕するわで散々な目にあったらしく。


風の如く駆け付けた友達とともに、怒り狂っていた訳だ。


そうして、辿りついた私を校舎裏へと引きずって現在に至る。

ちなみに、断じて私に悪気があったわけではなく、ただ物ぐさをしただけなのだ。
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