月の満ち欠け 巡る星々【詩】

*ガラス玉の夢

「ガラス玉の夢」


鏡の向こうに手を伸ばす

 無限に続く万華鏡

足下の子犬がワンと吠えた

 いつのまにか 時は止まった

見渡すと 空にはピンクのクジラ

  指の先からツタが生え

池のほとりにフラミンゴ

 ベンチに座る老夫婦

明日はどこかと頭抱えて嘆く

 すると私はこう答える

「明日は今日ですよ」

 その途端

割れた割れたガラス玉

 陽の光にキラキラと

散って舞って地面に溶けた


 動き出した時間


窓から吹き込むラッパの音色

 さあ起きて起きてとネズミが鳴いた


 2010.6.15
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