月の満ち欠け 巡る星々【詩】

*かつての泉の番人は

【かつての泉の番人は】


泉の水は清らかか

 それを知る者はもういない



かつての泉の番人は

 泉を狙う者に追い出され

清水はとうに色あせた


泉の森は薄暗く


もはや立ち入る者はない

悲哀を乗せて
 どこからともなく響く声

泉からだと気付く者はない

哀れ 哀れと鳴く鳥の

影を追う男の姿を映し出す


とたんに泉は清きを湛え

男の喉を潤した


番人は
 再び泉を守るため


森は男を護るため

濁らぬようにと祈りを続け

 甲高く鳥は鳴く

もう忘れないよと
 鳥は鳴く


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2020/05/29
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