奪い合い
「…………」
邦華は自分の体を前にして、黙ってしまった。
陽子は窓の外で不気味に笑った。
「フフフッ…あははははッッ!!
戻れないでしょう!!私戻り方教えてないもの!!」
フフフ、と陽子は笑う。
「~~~~なんで…ッ……!?」
邦華は泣きながらか細い声で言った。
「あははははは!!!
これが幽体離脱のリスクなのよ!!
自分の体に戻れないかもしれない…
それを理解してやらなくちゃあ!!!」
陽子は高い声で笑っていた。
___あぁ、私はもうこの体に戻れないんだ……
そう思うと、急にもうどうでもいい、と思ってしまった。
邦華の意識は途絶えた。