奪い合い

それに気づいたのか、半透明の体の一つが邦華に向かってきた。

「!!陽子さんッ!!」

「幽体離脱、楽しい?」

陽子は笑顔で言った。

「今はそれどころではないんです!!
なんで入れないの!?」

邦華は泣きそうになりながら叫んだ。

「このままじゃ…あたしの体がぁァアッ!!」

部屋の中の半透明の体たちは、邦華の体を撫でたり、頬を突っついたりしている。

「あたしの体? あなたの体はそれでしょう??」

陽子は邦華の現在の半透明の体を指した。

「…違うッ! 入れて!私を元の体に返してえぇッッ!!」

「じゃあ戻ってみなさいよ」

陽子は冷たい顔で邦華を押した。

「ひゃっ…あ、入れた!!」

自分の部屋に入った邦華は、早速自分の体に近づいた。

「よし……」


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