奪い合い
「そんっ…な……大丈夫ですよ!ほらっ!!」
邦華は腕をぶんぶん振り回した。
…陽子に見えているかどうかはわからないが。
そう、よかったわ
ところで、今日も…する?
幽体離脱を、というところはあいまいにしていた。
「…もちろんです!!」
邦華は暗闇の中、笑顔で答えた。
すると、辺りが前のように光った。
気づいたときには、体は透けていた。
「よかった、もう嫌だって言ったらどうしよう、って…」
邦華と会うなり、陽子は笑顔で話しかけた。
「そんな…私、ずっともう一度したいって思っていたんです!」
邦華も笑顔で答える。
そして、一度下を向いてから、
「あの……陽子さんにいくつか質問してもいいですか?」
と続けた。