花よりも美しく
花は、眺めているだけで十分だ
「花は手折るだけじゃない。植え替えればいい。それに気付かない兄さんは、ただの馬鹿だよ」
部屋を出ていく理生を、忍は止めなかった
彼が、自分の目の前から花を奪ってしまうかもしれない
それでも、止める権利など、自分にはない
────何故止めたいと思うのか・・・
「答えなんて、簡単だ」
花は嫌いだ
勝手に散って、勝手に枯れる
だからこそ、望まずにはいられない