花よりも美しく
視線を逸らして言う忍に、理生は呆れたように肩を落とす
「あの日、俺は兄さんの所に彼女を連れていった。あれが最後のチャンス、俺からの警告だって分からないほど、あんたは鈍くはないだろ?」
いつでも自分は月子を連れ出せる
だから、手に入れるなら今のうちだと
理生の言葉に、忍は無表情のまま振り返る
「・・・・・・引き止めてなんになる?ただでさえ、僕は彼女の選択を奪っている。無理に手折れば、花はすぐに枯れてしまう」