花よりも美しく
先程からずっと、忍は手を離してはくれない
かといって、掴む手の力をゆるめてもくれない
さすがに痛くて、月子は涙が滲んでしまう
「す、すまないッ」
それに気づいたのか、忍がようやく手を離した
「い、いえ・・・」
離してもらえた手をさすって、月子は安堵の息をつく
「勝手に歩き回らないでくれ」
「ご迷惑をおかけして、すみません・・・」
「あ、いや・・・。・・・・・・・・・心配の意味だったんだが」