花よりも美しく


ため息も出なくて、ただ嘘みたいに手が冷たい


「月子・・・」


呟いて、忍はイスから立ち上がった






制服のまま町を歩けば、自分と同じ姿の学生がいることに気づく

ただ、自分の着ている制服が珍しいのか、通り過ぎる人が振り返る


「どこ行こう・・・」


行く宛などないのに、無謀にも逃げ出した

自分でも、愚かな行為だと思う

帰るべき場所がどこなのか、分からなくて・・・

泣きたくなってきてしまう


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