花よりも美しく


忍が見えなくなって、月子は深く深呼吸をする

忍が前にいると、緊張して息がうまくできない気がする


「忍は、プレッシャーなのよ」

「・・・・・・???」

「次期家元と言われて、それが重荷なのね」


珠子は月子の部屋に入り、月子もその後に続く


「さぁ、着替えましょうか」

「はい・・・」


結い上げた髪が肩に広がると、ほのかに桃の甘い香りが広がった


「月子さん、あの子をよろしくお願いします」


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