花よりも美しく


忍は座席に深く座り込み、目を閉じた

何も話しかけるな

無音の中悟り、月子は流れ行く景色を眺め続けた






「すごい・・・!」


車を降りて出た言葉は、素直な感想だった

辺り一面、向日葵だけ

細長い道を歩く忍を追いながら、月子ははじめて見るたくさんの向日葵に、少し興奮していた


(あれ・・・?ここ、何かで見た気が・・・)


考えていると、忍が足を止めた

気づいて、月子も足を止める


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