青春音楽

｢そういや明日、新しい先生来るって言ってたっけ｣



麻里がグランドピアノにひじを突きながら、さもだるそうに言う｡



｢え、そうなん?｣



｢昨日森やんが言ってたやん｡
普段音楽室まで来ーへん怠け者顧問がわざわざここに来て｣



｢そう言われれば言ってたような…｣



はっきり言って覚えていない｡



｢あんた一応部長なんやから、しっかりしいや｣



麻里は表情を変えずに､心にもないことを言う｡



｢部長って言ったって、そんなん誰も思てへんやん｣



｢分かってるよ｣



麻里には口では勝てる気がしないし、勝ったこともない｡


私の言うことなんかいつもお見通しという感じだ｡



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