春夜姫
 光がやむと、春夜姫はゆっくり瞼を開けました。そこに青い鳥の姿はなく、夏空色の瞳を持った美しい青年がいました。

「あなたはどなたですか」

 春夜姫は恐る恐る尋ねました。青年は答えます。

「私は、遠い国の王子です。悪い魔女に騙されて、鳥の姿に変えられていまし
た。あなたの口づけで私の魔法も解けたのです」
 春夜姫と夏空の王子は微笑み合い、そしてもう一度口づけをしました。

 春夜姫の声が戻りました。王様もお后様も、国の全てのものが喜びました。それはまるで、一気に春が来たようでした。
 やがて、春夜姫と夏空の王子は結婚し、たくさんの子どもを授かりました。そして、いつまでも幸せに暮らしましたとさ。



 めでたしめでたし。



おわり
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