正夢、誤夢

心配そうに、俯きながら尋ねる由紀。


―ぷっ

『ククククク…』

『なんで笑うのー????』

『あははははっごっごめっ!ひー!あははははははは!!!いたっお腹いたいぃぃーいっひっひっひっひ…』


ポカーン。
口をあんぐりあけて目をパチパチさせる由紀。

『はははっ、なんか、ビックリしたけど!けどね、こうゆうギャップ、あたし大好物!!!』

佐奈がそう言うと、安堵の表情を浮かべる由紀。

『よ、よかった~!』

『それにしても、よくこんだけ集めたね。』

『うん、中学の時は、バイトも出来なかったから漫画とかちょくちょく集める程度だったんだけど。
高校入って、あたし帰宅部だから。バイト結構頑張って、バイト代は8割趣味に消えてしまう…』
と、自嘲気味に言う由紀。

『いやー、いいと思うよ。生きる楽しみがあるのは。』

『…高校入って1人目だ、この秘密知ったの。』

『まじか。他の子には言わないの?』

首を振る由紀。

『信用してる子にしか言わない。』

(じゃあ、あたしはそれなりに信用されてる、ってことか。)
思わず顔がほころぶ。
いくら淡白な佐奈とはいえ、人から信用されるのは、やはり嬉しいことだ。

『ありがとね!教えてくれて。』

『うぅん。お礼をいうのは由紀の方。実はいつバレるかって冷や冷やしてたんだよね…。
…で、でね?佐奈ちゃん、その…』

『大丈夫。安心して。あたし口は固いほうだから!』

『あ、ありがとう!』

『トーゼン!てか、一応課題やりに来たんだから、そろそろやりますか!』

そうだね、と由紀は頷く。
それから2人がより仲良くなったのは、言うまでもない。



言うまでもないんだけど…

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