正夢、誤夢
夜。佐奈は母親に由紀から言われたこと、明日由紀がユメナールを持って家に来ることをつたえた。
母は終始笑顔で、頭の上に花でも咲くのではないかという程ニコニコしている。

『やっぱり由紀ちゃんは一味違うわ~。明日は仕事も休みだし、昼寝の時に借りてみようかしら。昼寝しやすいように、今日は徹夜でもしよっかなぁ~』

のんきなものだ。

はぁぁ

とため息をつく佐奈。最近ため息をついてばっかりだ。目もとにしわでも出来た気がする。


『ちゃんと寝なって。それじゃあ本末転倒だよ、お母さん。』

『いいのいいの。ちょうどやっておきたかった仕事もあるし。』

『でも…』

『あんたはちゃんと寝なさい。明日昼寝しないように。』

…自己中だ。

『ん?何か言った?』


『いや、何も?おやすみなさーい』



部屋に戻りベッドにごろんと横たわる佐奈。どうも嫌な予感が頭から離れない。

『絶対危ないよ…あの機械。それにきもちわるいし…』




未来なんて誰もわからない。
わからないから突っ走るのか、
わからないから不安になるのか、
わからないから希望を持つのか、

わからないから、人はその先を知りたくなる。
だから人は、止まれないのかもしれない。






―第一章.fin―
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