華ノ色は…



「おっ、来た来た。」
「遅くなってすみません。」
「何してたンや?」
「…ちょっと、捕まってました。」
「はあ?なンやそれ。」

この関西弁の男がジンだ。
黒髪に赤い瞳の不気味な男。
本名は誰も知らない。
この組織(鴉)のリーダーだ。



「今回は何の用件で?」
「ンー…
お前、黒の契約者って知ってる?」
「!!?」
「その顔は知ってる顔やな。」
「…はい。
最近、何かと噂になっている
“闇ノ使者”っていう組織が開発した
変な薬を飲んだ奴等のことですよね。」
「そーや。不思議な力をもつバケモンや。」
「まさか…
今回の仕事って…」
「ああ。ターゲット自体は大した事ない。佐々木美保(ササキ ミホ)っちゅー32歳の若手の政治家や。せやけど、“闇ノ使者”と関わってるっちゅー話しや。油断はできひん。」
「32歳…。若いですね。」
「まぁ~な。」
「依頼人は何て?」
「『どんな手を使ってでも消してくれ』やそーや。詳しいことは知らん。」
「…そうですか。」
「でもなぁ…」
「…何か?」
「この依頼人。樹…いや。“憐華”を指名してきよったんや。」
「!!?」
「“憐華”なんか…一般のヤツは知らん。何かの罠かもしれん。」
「どうするんですか?」
「一応、悠斗が今、依頼人を調べよる。それによっては…引き上げるかもしれん。」
「…分りました。」
「これがここ一週間の佐々木美保の予定と、黒の契約者の情報や。よく読んどけ。また、情報が入り次第、連絡するわ。」
「はい。」
「んでなぁ、明日から若いヤツ…まぁ、お前よりは年上やけど…付けるさかい。今回は2人で動いてくれ。お前に何かあったら困るからなぁ~。」
「はい。でわ…」
「おう、きぃつけて帰りや。」
「…失礼しました。」


俺は一礼すると部屋を後にした。



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