現実アクションゲーム
前から、音がする。かなり近い。


「そんな……」


小さく、二葉が声を漏らす。


どうやら、ガイコツは一体だけじゃなかったようだ。


音からは、遠ざかって歩いていたはずだ。


「くっ……」


蓮も歯をくいしばる。


音は、T字路の右からだ。


どうする……退き返したほうがいいか……


そのとき、ガイコツが姿を現した。


「!」


悲鳴が出そうになった。二葉も、同じだっただろう。両手を、口に当てている。


ガイコツは蓮たちから見てT字路を右から左に、真っ直ぐに通過した。


横を振り向かれれば、気づかれてしまっていた。


「……」


しばらく、動けなかった。まだ、近くにガイコツの足音がする。


だが、次第にそれは遠くなっていった。


「フー……」


二人とも、安堵の息を漏らした。


ガシャ、ガシャ……


その音に、鳥肌が全身を駆け抜けた。


すぐ背後に、いる。


ゆっくりと振り返る二人。


そこには、一体のガイコツが立っていた。


「ガルルルル……」


犬のような呻き声を上げながら、蓮と二葉を見据えている。その威圧感に、蓮は感じた。


……ダメだ、勝てない。殺される!


「走れ、二葉!」


言われると同時に、とっさに走り出す二葉。蓮もそれに続いた。追ってくるガイコツ。その速さは、二人と同じくらいだった。


距離は、3メートルほどしか離れていない。恐怖に、足がもつれる。


がむしゃらに走る二人。だが、それも長くは続かないだろう。


ここは、不幸にも迷路の中だ。行き止まりは、必ずある。


だが、もし運が良かったら……こんなに複雑な道だ、撒けるかもしれない。
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