現実アクションゲーム
「え?ないけど」


そのとき、蓮から表情が消えた。


確定。


二葉は、何か企んでいる。


これだけ見つめて、気づかないわけがない。


「どうしてだよ……信じてたのに……」


「何が?」


そうか。


CGだと言う会話は、俺と拓馬しか知らない。


つまり、二葉にとって、まだ俺がCGだと言うことに気づいていないと思っている……


俺や拓馬が二葉を疑っていると言う話も、二葉が死んでいるときに話した。


二葉は、俺がただただゲームをクリアしただけだと思っているんだ……


知らん振りが、裏目に出ていると気づかずに。


「もう、会わない方がいいな。じゃあな」


そう言うと、蓮は立ち上がった。


「行こう、拓馬。俺たちは、あっち側の人間だ」


蓮は歩き出した。それに、拓馬が続く。


「ちょっと、蓮君」


「来るな!」


着いて来ようとする二葉を、怒鳴る。


その声に、通行人の視線が集まる。


なぜそこまで隠すかはわからないが、おそらくは、ゲームの製作者の人間……その確率が、もっとも高い。


おそらく、恋愛感情だってないはずだ。


俺を信用させるための、手段の一つ。


どっちにしろ、これ以上二葉と一緒に居るのは危険だ。


拓馬といれば、少なくとも……CGとしてでも、生きていられる。
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