現実アクションゲーム
「はぁ……はぁ……」


タメ息でもない、喘ぎ声でもない悲痛な声が漏れた。


違う。


今までの字と少し違う。


「やめてくれ……頼むから……」


背中には、すでに迫る壁があった。


壁は蓮の背中に触れると、そのまま蓮を押した。


「やめろ!やめろ!やめろ!」


必死に抵抗する蓮。だが壁はびくともせず、蓮をどんどん文字の方向へ押した。そのとき、見えた。


『不正解』


その文字を見て、蓮は叫んだ。


自分でも、何て言ったのかわからなかった。


もう何も考えられなかった。


あとは、挟まれて死ぬだけ。


我に返ると、蓮は必死に抵抗していた。


押し戻せるはずもないのに、無意識のうちに精一杯壁を押していた。


無理だとわかると、今度はバタバタと暴れ出した。


「いやだ!いやだ!」


まるで子どもがキレたような暴れようだった。


わけがわからず、自分の髪の毛を力いっぱい引っ張った。


「うおぉおお!」


そのとき、その先に再び緑の文字が見えてきた。


「は?」


その文字に、蓮は目を疑った。


『嘘。正解(笑)』


喜びよりも、血の気が引いた。


まるで、全身から血が一滴残らず出たみたいだ。


激しい怒りがこみ上げてきた。
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