現実アクションゲーム
そうだ。


コイツに、先に渡らせればいい。


やってみろ。この恐怖を味わってみろ。お前に、跳べるはずがねぇ。


「おい、拓馬。右だ。右に、跳べ」


「右か。なぜだ?」


「攻略本を持ってるのは俺なんだろ?その俺の直感が、右だって言ってる。大丈夫だ。死を恐れてねぇんだろ?だったら、先に行けよ」


「わかった」


拓馬は蓮の言葉の後、何の躊躇もなく右のブロックに跳んだ。


その行動に、驚く蓮。


コイツ……やりやがった。本当に、恐れてねぇ……


拓馬はブロックの上に軽快に着地した。


「で?次は?」


余裕の表情で蓮の指示を待つ拓馬。


次のブロックも、二手に別れている。


「み、右かも……」


そう呟いたと同時に、すでに拓馬は右へ跳んでいた。


「お、おい!」


またしても軽々と着地する拓馬。


二回目の右は、なんとなくだ。直感でもなく、本当になんとなく、口先だけで指示したのだ。


ゆっくりと拓馬の後に続く蓮。


機械のように冷静な拓馬に、蓮は恐怖すら覚えた。


「何だ、コイツ……」


思わず、声も漏れた。


次のブロックからは、再び一本道だ。


だが、拓馬は動かない。さすがに、恐怖を感じてきたか。


「どうしたんだよ?」


「一本道だからと言って、崩れないという保障はない。どのブロックに乗ればいいか、指示してくれ」


その言葉を聞いて、蓮の全身が鳥肌を立てた。


さっき、一本道を何も考えずに先に渡ってきた。


もし崩れていたらと思うと、ゾクッとした。
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