現実アクションゲーム
ってゆうかコイツ……正気か。


俺の指示だって、保障はどこにもないんだぞ……


「全部崩れねぇ」


適当に言ったその蓮の声は、震えていた。


「わかった」


再び、ノータイムでサクサク渡りだす拓馬。


とても、同じ人間とは思えない。


いや……同じCGと言うべきか?


全てのブロックを渡りきると、大きな廊下が広がっていた。


幅は約10メートルほどある。


なんて広い廊下だ……魔獣でも住んでるのか?


沈黙が続き、コツコツと二人の足音だけが響く。


廊下はセンスの悪い銅像が立ち並んでいた。


兵士の格好をした若者が子どもに剣を向けている銅像。お爺さん二人がロシアンルーレットをしている銅像。一体、何をモチーフにしているのだろう。


足元には派手な赤色の絨毯が延々と敷かれていた。


廊下の先は見えない。どこまで続くんだ。


廊下を歩きながら、蓮は二葉のことを考えていた。


あの後、つり橋を自力で這い上がれたのだろうか……


それとも、落ちてしまったのだろうか。いや、湖には人は落ちてこなかった。


だとしたら、二葉は城の中へ入れたはずだが……


まさか、さっきの移動ブロックで落ちてしまったのか。


そのとき、前方に人影が見える。こちらに向かってきているようだ。


剣を抜く拓馬。それに続き、蓮も剣を構える。


「気をつけろ」


拓馬がボソッと言う。人影も剣を構えている様子だ。


拓馬と蓮は、ゆっくりと人影に近づいていった。


だんだん、姿がはっきりしてくる。


それは、剣を持って震えている二葉の姿だった。
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