秘密の恋の始め方

「奏太くんの不機嫌の原因当ててあげようか?」

にやっと笑った高倉は、俺の顔を見てそれを爆笑に変えた。

「お前本気で失礼だよな? この俺の顔見て大爆笑ってなんだそれ!?」

「いや、だってっ……! ないないありえないって、なにそのぶすくれた小学生みたいな顔! 天下のアイドルのカナタ様が!」

「うっせーなっ、知るか!」

げしっと笑い転げてる長身をけりつけたら思ったより転がった。備え付けの本棚にぶち当たってやっと止まったにもかかわらず、高倉はひーひー笑い転げ続けてる。

「あーもう! お前ムカつく! ほんとムカつく!」

「ごめんって、奏太くん、すねないで……! あーおかし」

笑いの発作を引っ込めた高倉が、まぁでも原因なんて1個しかないよね、当てるまでもないかと失礼なことをぬかしてきた。

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