秘密の恋の始め方

その⑥ 秘密の恋の始め方





「だっ、駄目だってば――っ!!」


すっげぇ直球だなぁなんて思わず笑いかけたその瞬間、がばさぁ!とすごい音とともに、悲しいぐらい聞きなれた大絶叫が茂みから聞こえてきた。

「っておまえはほんとにお約束だな!っつーか、なんでそこにいたんだマジで!」

とにもかくにも一言突っ込まなきゃ気が済まないと言わんばかりの俺の第一声に、ぶっふーと腕の中の千沙ちゃんは押し殺しきれないで笑い出していた。
ほんと、自由なお人で。

「だっ……だって……!」

暗闇でも分かるくらい真赤な顔しておどおどしてるユズコに、本気でしょうがないなと思ってしまうぐらいほだされきっちゃってる自分がなんだかなぁと思うけど。
とうとう大爆笑に代わってきた千沙ちゃんの身体を離して、ぐるぐるしてるユズコのところまで近づいた。

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