秘密の恋の始め方

「だって?」

次会ったらなんて言ってやろうかななんて思ってた割りに、俺の声は至って普通。
ユズコのペースに呑まれきってる。
しょうがない、これも愛だ。……愛か?

「だって千沙ちゃんが!」

「――あたしがなんだって?」

じろり、たぶん一睨みだ。つえぇな、千沙ちゃん。

「ちっ、千沙ちゃんがっ、『あー、つまんない、こうなったらあたしがもらっちゃおっかなぁー、ゆずはいつまで経ってもゆずのままだしねぇー、じゃあ頂きます』とか言って寮の窓から飛び降りるからでしょー!」

「……え、ユズコ、おまえも窓から降りたの?」

確か昔は運動神経良かったけど、こいつ今はそんなに良くないよななんて思わず聞けば、突っ込むところはそこで良い訳?と呆れた千沙ちゃんの声。
いやだって気になるし。

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